弊社社長 小山 昇が著者のひとりを務めている書籍『トコトンやさしい二次電池の本 新版』が日刊工業新聞社より2022年1月31日発売されました。
内容
充電して使用する二次電池は、電気自動車や自然エネルギーの蓄電装置などに使われ、近年注目が高まっている。代表的なリチウムイオン二次電池をはじめ、様々な種類の二次電池の原理、仕組み、特性などがわかる。
目次
『トコトンやさしい二次電池の本 新版』より
第1章 二次電池の基礎知識
1 電池が注目される世界の状況「持続可能な社会のために」
2 電池が生まれた歴史「バグダッド電池、ガルバーニのカエルの実験、ボルタの電池」
3 ダニエル電池とルクランシェ電池「日本の電池開発にも影響を与えた」
4 電池はどんな構造をしているのか「電池の分類と構成」
5 主な二次電池の歴史「19世紀後半からの電池の進歩」
6 二次電池の電圧と電流の関係「電圧、電位、起電力と放電曲線」
7 酸化還元反応と電池反応「電子のやりとりと、エネルギーのやりとり」
8 電池反応式「酸化還元反応を式で表す」
9 充放電反応と過電圧「充電曲線と放電曲線」
10 イオンの拡散と電池反応「レドックス化学種の濃度変化と電位の関係」
第2章 リチウム二次電池(LIB)
11 リチウムイオン(二次)電池誕生の歴史「日本が大きな役割を果たした」
12 リチウムイオン電池(LIB)の原理と取り扱い「エネルギー密度が大きいため注意が必要」
13 インターカレーション反応「層状になった構造にリチウムが入りこむ」
14 相互作用の因子も含めたインターカレーション反応「相互作用、ガス・格子モデル」
15 長寿命化への挑戦①「充放電にともなう熱発生・熱吸着」
16 長寿命化への挑戦②「充放電にともなう熱流束の測定」
17 長寿命化への挑戦③「電解液を用いたLIBで10年以上の寿命」
18 差分曲線「電池特性を非破壊で知る指標」
第3章 LIB以外の二次電池とエネルギー貯蔵デバイス
19 LIB以外の二次電池と類似エネルギー貯蔵デバイス「用途によって使い分けられる電池の種類」
20 LIBとその他の二次電池の比較と特徴「一長一短で使い分けが重要」
21 鉛蓄電池「正極に二酸化鉛、負極に鉛を用いる」
22 ニッケル・カドミウム(ニカド)電池「温度変化による容量変化が少ない」
23 ニッケル水素電池①「ニカド電池の負極を水素吸蔵合金に置き換え」
24 ニッケル水素電池②「負極に使われる水素吸蔵合金」
25 ナトリウム硫黄(NAS)電池「負極はナトリウム、正極は硫黄で炭素繊維を加える」
26 レドックスフロー(RF)電池「大型の電池として需要がある」
27 電気二重層キャパシタ①「原理と構成材料」
28 電気二重層キャパシタ②「充放電特性と特徴」
29 リチウムイオンキャパシタ「EDLCとLIBの組み合わせ」
30 ナトリウムイオン二次電池「リチウムイオンをナトリウムイオンに置き換える」
31 マグネシウム二次電池「Mg2+イオンの移動で充放電」
第4章 電池を構成する材料
32 負極材「黒鉛、ハードカーボンなど」
33 正極材「層状構造、スピネル構造、オリビン構造など」
34 電解質「正極と負極の間でイオンを媒介する」
35 支持電解質「電解液の導電率を上げる働き」
36 バインダーと導電助剤「電極の安定保持に必要とされる」
37 セパレータ「正極と負極の短絡防止に役立つ」
第5章 汎用LIBの性能
38 汎用的なLIBの特徴「出力電位、エネルギー密度、安全性、使用温度、充放電サイクル数、寿命」
39 LIBのセルの形「円筒型、角型、ラミネート型、その他の形」
40 ポリマー電池「溶液系、固体系ではない電解質の形」
41 化学修飾「電極と電解質との界面制御」第6章 性能の劣化と診断方法
42 LIBの特性が劣化する要因「使用とともに起こる劣化の数々」
43 劣化を評価するための指標「エネルギー容量、パワー密度の減少、出力電位、抵抗の変化」
44 交流インピーダンス測定「電池を電気化学的に評価する方法」
45 電池反応の疑似等価回路「電気的抵抗因子、キャパシタ因子、リアクタンス因子」
46 インピーダンス測定とパルス応答による電池診断「等価回路フィッティング解析」第7章 リユースとリサイクルに向けた取り組み
47 中古LIBのリユースの可能性「EV用電池の普及とともに再資源化がカギ」
48 中古LIBの回収と化学物質の再利用「有害な物質を処理してリサイクルする方法」
49 LIBの主なトラブル①「内部短絡が起こる理由」
50 LIBの主なトラブル②「短絡によって過熱され、熱暴走を引き起こす」
51 安全性を確保するための釘差しテスト「極限環境を再現する試験」
52 サンプル用LIBの作り方「電極作製、電池組み立て、評価・検査」
第8章 二次電池の進化への挑戦
53 電解質の難燃化「イオン液体、支持電解質の高濃度化、水和融体」
54 高エネルギー密度化のための正極材料「金属酸化物酸素の酸化還元」
55 金属リチウム負極の利用「理論容量は高いが劣化と安定性が課題」
56 リチウム硫黄電池「容量は魅力で資源も豊富だが、中間生成物が問題」
57 リチウム空気電池の可能性「高エネルギーで小型軽量だが充電と放電の電位差が大きい」
58 全固体リチウム二次電池とは「電解質に固体を用いた新型電池」
59 全固体リチウム二次電池の材料開発「イオン導電性の高い材料が求められる」
60 全固体リチウム二次電池の克服課題「材料と構造体の両方に課題がある」
第9章 二次電池の用途と取り扱い方法
61 市場の拡大①「定置型電源としての利用」
62 市場の拡大②「移動型電源としての利用」
63 宇宙での活躍「独特の環境で使われる電池」
64 体内での電池の活躍「リチウムヨウ素電池の利用」
65 二次電池に関わる法律「エネルギーの缶詰を安全に取り扱うために」
【コラム】
●一次電池は充電できるのか?
●ソニーのLIBで高価なコバルト酸リチウムが正極に選ばれたわけ
●将来の電池はどうなり、どこへ向かうのか
●電池性能を影で高める添加剤
●電極材・電解質の複合化
●性能劣化のよもやま話
●安全性を担保するための電池の構造
●変幻自在の硫黄原子
●これからの二次電池の利用と本書のまとめ
参考文献
索引