プロジェクトの紹介

中・大型リチウム二次電池の健全度診断器の開発・販売

中・大型リチウム二次電池の健全度診断器の開発・販売

リチウム二次電池特性解析(データベース化の例)

 

 

リチウムイオン電池のインピーダンス多重計測による安全度診断器の開発

記載日: 2013 年 12 月 23 日

背景

車載や定置型用リチウムイオン二次電池 (LIB) の安全使用のためには,健全状態・劣化を簡便に評価することが可能な新しい診断測定装置が望まれている。

交流インピーダンスデータの利用

交流インピーダンス法による電池内部探査は、正極、負極間のキャパシタと抵抗(図参照)の変化を検出できる。充放電応答曲線からは,陰極表面と陽極表面の電荷密度が変化する現象しか検出できないのに対して、交流インピーダンス法では,図のように両電極と電解質での変化をも検出可能である。

電池の擬似等価回路各要素の具体的イメージ

電池の擬似等価回路各要素の具体的イメージ

特に,この手法は従来外部から検出が困難とされていた負極界面の金属 Li 析出を検出できるを有している。

診断器の原理

該プロジェクトのリチウムイオン電池 (LIB) の診断法は、従来の抵抗変化を計測する直流法と異なり、交流インピーダンスの計測で行ない、電池の健康・安全状態 (SOH) を擬似等価回路の細分化した抵抗要素とキャパシタ要素で高精度・高速に判断する手段をとっている。本開発では、最新の LIB に関する特性のデータベースを構築し、それに基づき劣化パターンとの関係式やテーブルを作成している。そのアルゴリズムから SOH/SOC を判断する。すなわち、電池特性の逐次状態を詳しく把握する診断法である。

製品の特徴

現在使われている手法は、LIB の詳しい SOH を把握するには不十分である。そのため、LIB 組電池の不具合への対処は、不具合を発生した後か、あるいは充電回数および走行距離に応じて予防措置として早めの段階でバッテリーを交換することしかできていない。また、電池容量 (SOC) の推定では、電流積算法や電圧観察法で推定するという手段を取っており、周辺環境や走行条件によって大きな誤差 (± 20 %程度) が生じてしまう。提案製品では、セル単位でインピーダンス情報に基づき、詳しい SOH や正確な SOC を検出できるため、LIB 組電池を寿命 (SOL) 直前まで安心して利用することができるようになる。電気自動車の信頼性が向上するだけでなく、無駄なバッテリー交換が避けられ大きなコスト削減にもつながる。このことにより、充填あるいは廃棄電池の数を減らすことができ、CO2 削減を含む環境負荷を低減化できる。

名称

本製品は、「インピーダンス多重計測による安全度診断器 (IMSD) 」と名称する。

以上